●氷山モデルと氷山モデルシートについて
氷山モデルは、自閉症の人の様々な行動を水面上の一角に例え、その部分ではなく水面下の要因に着目する視点です。
私は、その水面下の要因を「本人の特性」と「環境要因」の相互作用としています。「本人の特性」と「環境要因」のアセスメントを重要視し、そのアセスメントとプランニングのための氷山モデルシートを作成しました(シートはこちら※)。
●特性と環境刺激の相互作用の視点
自閉症の人は、様々な刺激・情報に影響を受けます。自閉症の人にとって刺激や情報を無視することは難しいことです。
また自閉症の人は、感覚の特異性を持ちます。様々な1つの刺激に強く注目することで混乱したり、動けなくなったりします。
氷山モデルシートでは、本人の特性と環境の相互作用の影響に着目します。様々な刺激に影響をうける、無視できない、感覚の特異性があるだけでは行動面には影響を与えません。それに相互に作用する環境の要因があるのです。
例えば、感覚の特異性として赤ちゃんの泣き声が苦手で混乱し癇癪にな方も、近くに赤ちゃんがいなくて泣き声が聞こえなければ混乱や癇癪はおきません。
下の自閉症特性カルタも本人の様々な視覚的な情報に引っ張られ無視できない特性と棚が整理されてない環境との相互作用から起こります。棚が整理されていたり、カーテンがされていたり、棚を整理する時間が指示されていれば授業に集中できかもしれません。
●何もない環境では問題行動はおきないか?
では、自閉症の人の周囲の環境に刺激や情報、物も、何もない状況を作れば問題となる行動はおきないのでしょうか?
正解は問題となる行動がおこる可能性が高いということです。
それは、自閉症の特性として、曖昧で何をしていいかわからない空間・時間が得意ではないという特性があります。その特性と刺激・情報も何もない状況が相互に作用して問題となる行動がおこる可能性があるということです。
強度行動障害の対策として、何もない環境づくり、頑丈な環境づくりのイメージだけが先行しているように思います。しかし、ただ、刺激・情報を少なくしても、物を少なくしても、頑丈な壁を用意しても、問題となる行動の解決にはつながり難いのです。生活の中の活動内容づくりをしていく必要があります。
●必要なものが無い状況も環境要因です
個々で氷山モデルシート記入のポイントです。影響を受ける環境要因を書き出し、考察する時には、現状にある刺激、情報、関連するものだけではなく、本来は必要だけど現状で無いものも書き出してください。
- 必要な指示がない
- 終わり等が提示されていない
- 見通しが提示されてない
- 本人にあった指示ではない
- 注目できにくい指示になっている
- 環境が整理されていない
- 物や本人の場所の提示がない
- 代替コミュニケーションがない
- 刺激が統制されてない
氷山モデルシートはワークシート集ページからダウンロードできます(こちら※)。
※活用、記入に関しては書籍『フレームワークを活用した自閉症支援』(104~105頁)を参考にしてください。
より氷山モデルシートをイメージしていただくために講演・セミナーでは、『氷山モデルで要因になるHP用特性×要因になる環境・状況×記憶』イメージ図を配布しています。
【氷山モデルで要因になるHP用特性×要因になる環境・状況×記憶】
※こちらのイメージ図はメール会員限定コンテンツのページで公開してます(メール登録が必要です)。
※無料のメーール会員登録はこちら。記事の更新やメール登録者限定コンテンツのパスワードもお知らせします。
Amazonでの購入ご希望の方は下のリンクからお願いします。
Facebookページはこちら
facebookページ ※facebookページのIDがない場合も観覧はできます。ご覧ください。