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2つの書籍の『自閉症・発達障害特性シート』を多くの皆さんに活用していただきたいと、【特性】と関連の【特性かるた】を掲載しています。
●関係理解の困難さ
関係の困難さとは、意味づけの困難さです。意味とは、似通ている物・事柄を1つに概念化する「般化」と、違っている部分で1つ1つを分ける「分化」によってなりたちます。例:野菜とくだもの、リンゴとバナナ、長いものと丸いもの、赤と黄色 など。
自閉症の人は意味を関係づけることが難しかったり、独特さがあり、似通った物や事柄を1つの意味としてくくること、広い柔軟な視点、大雑把に同じにすることが困難さがあります。
例)白い洋服=恐怖と結びつける 先生が右手をあげたら歯磨きを始める
例)1つのカレーしか認めない 積み木の色で分類できるけどミニカーの色では分類できない。
*特性シート記入例:細部の違いに気づきすぎて似通った仲間でわけることが難しい(シート参照)
また、様々な物ごとの意味を字義通りや解釈したり具体的に取りすぎたり、自己流に解釈したりする意味の取り方の特性も見られます。
*特性シート記入例:人からいわれた内容を字義通り受け取り、裏の意味をもつことが難しい(シート参照)
【関係理解の困難さの指導・支援の方向性】
- 1つ1つの意味を本人にわかる情報で具体的に伝える
- 曖昧な表現をさけて、具体的な情報提供をおこなう
- 本人の字義通りの理解に配慮した情報提供をする
- 1つの意味に対して、たくさんの事例を体験し一貫したカテゴリーを整理する
- 幼児期からの「似通っている」と「違い」などの分類課題で概念の理解を深める
- 自己流の解釈は、解説文、図や表などを活用して理解を促す
【基本プロセス】
- まずはシンプルな1対1の場面で、意味を教える
- 1対1の場面で例題を通して深める
- 1対1や自立エリアで事例を重ねる(自立課題として)
- 様々な場面で活用し、応用する
●状況・場面の般化
自閉症の人の中には、1つの場所・状況でできている活動・課題が、異なる場所・状況ではできないできなくなってしまうことがあります。
例)学校では歯磨きできるが家ではできない
例)A先生にはコミュニケーションするけど、できない
1つの課題・活動が場面・状況と強く結びついて、そうでなくてはできないということがあります。
場面や状況が変わっても応用して実施できる般化が難しいのです。
●ルールの応用の難しさと自己流のルール
1つの状況・場面で覚えた方法・ルールは、他の似通った状況・場面も使うことあります。自閉症の人の中にはそれが難しく応用できない場合があります。
状況にあわせて方法・ルールを変えたり、新たな方法・ルールを使ったりすることが必要になります。しかし、自閉症の人の中には、それが難しい場合があります。
1つの状況・場面と1つの方法・ルールを一度結びつけてしまって、状況判断をして方法・ルールを調整することが難しいことがあります。
それらの様子が、周囲からは自己流の解釈、ルールでやっているように見えることがあります(自己流の解釈、ルールは他の特性を要因として起こることがあります。例えば字義通りの解釈、理解の困難さ)。
*特性シート記入例:いつの物や状況でのやり方を他の違った場面でも応用してしまうことがある(シート参照)
【場面・状況の困難さの指導・支援の方向性】
- 視覚的な支援の活用が般化を助ける(システム の活用)
- 一貫した支援や教え方を心がける
- 一場面一場面ていねいに教える
- 場面によってできなくなることを想定する
- 計画的に場所、人、状況を変えた経験を設定する
【基本プロセス】
- まずはシンプルな1対1の場面で活動・課題・ルールを教える
- 1対1の場面で例題を通して深める
- 1対1や自立エリアで事例を重ねる(自立課題として)
- 様々な場面で活用し、応用する
●関係理解と般化は実は同じこと
この記事では、意味の理解の困難さと場面・状況の般化を分けていますが、似通っている物・事柄が、概念(意味)、行動、活動、ルールなどなどになるだけで、同じ柔軟さや応用の困難さになります。
特性シートでは、概念(意味)の般化の困難さや独特さや字義通りの解釈、自己流ルールを「関係理解の困難さ」の項目に書き、活動、課題、スキルの場面・状況の般化を「般化の困難さ」の項目に書きます。
●関連のリンクです
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