●消極的ネットワーク論
「消極的ネットワーク論」は数年前に考え方視点です。賛否あり、これをSNSでつぶやいたら、たくさんの専門家の方からお叱りを受けました。
しかし、私の視点はそのころから変わらないし、実際のケースの中でもこの視点で考えるとうまくいき、この視点がないことでうまくいってないケースもあり、賛同いただける方に共有する意味で情報発信します。
最初にこの視点を考えたのはシンプルな場面です。自閉症を持つ当事者に対して相談事業所がたくさんの関係機関を巻き込んで、本人に対してもたくさんの情報を伝え、整理もされず、しかも誰もその責任を持つことをしなかった場面がいくつかのケースで見られました。
そこで地域支援体制の介入時の注意喚起として伝えたものが「消極的ネットワーク論」です。また、当時の上司とのディスカッションが大きなきっかけになってたものです。以下当時のメモを文章化したものです。
【消極的ネットワーク論とは?】
自閉症・発達障害の支援は多様なニーズを持ち、1事業所の力では解決できない課題も多い。そのため多様な機関との連携・協働などのネットワーク構築は重要である。
しかし、反面、専門家研修で話される「ネットワークが多い方が良い」というイメージ、理想論は、支援現場において情報処理に困難さを持つ自閉症・発達障害の当事者にとって混乱を生み、また見通しが持ちにくくなり不安を持つことにもつながっている(そのようなケースがある)。
そこで、自閉症・発達障害の個々のニーズだけではなく、個々の情報処理の特性に配慮し最小限の適切な範囲のネットワークを構築することが期待される。
ただ、「最適」ということが拡大解釈され、支援者の思いや感情によるものや、反対に無責任な責任回避により「最適なネットワーク」が「過剰なネットワーク」になるケースが多い実態を考えると、「ネットワークは消極的ぐらいでちょうどいい」という表現の方が最適につながる。この最小限で最適なネットワークを推進する考えとして「消極的ネットワーク論」とする。
●積極的ネットワークのデメリット
一般化している積極的ネットワークで地域ではどうなっているでしょうか?以下は、実際に目にする積極的なネットワークのデメリットです。
- ネットワーク間の一貫性が保てない
- 当事者や保護者の混乱、不安、見通しの不明瞭化
- 役割と責任の拡散と不明瞭化
- 過剰な忖度と課題(問題)の隠蔽 など
●最適なネットワークづくりのために
「消極的ネットワーク論」は極論であり、あくまで地域への注意喚起として使っていた用語です。
本来は最適であることが大切なのは解説する必要もないことです。しかし、現状ではなかなか最適化しないのが現状です。
1つは、やはり「ネットワークは多い方が良い」という専門家イメージがあります。今でも専門家研修の中で講師が話される。
また、当事者や保護者自身も不安や見通しの無い状態から様々な関係機関に相談することで、ネットワークが増える場合もあります。
そこで、いくかの最適なネットワークづくりの工夫を羅列します。
- 主たる相談の事業所を決める※
- 主たる支援事業所を決める※
- 主たる事業所が情報整理をする
- 一貫した視点(合理的配慮)を共有する
- 効果測定を共有する
- 多様な話し合いパターンを持つ(例:規模、内容)
※自閉症・発達障害の特性と支援を把握していることが重視される。なので、主たる相談の事業所が計画相談を実施している相談事業所とは限らない。
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