学校や事業所で実施している様々な手立ては、生活全般で行うことで大きな効果をうみます。保護者との協働作業、一貫した視点での環境設定や支援が重要になります。
支援者から保護者への環境設定、支援の提案が必要になりますが、新しい提案は、時には押しつになったり、保護者にとっての混乱になったりすることもあります。
●保護者が気にしている・困っている部分から始める
本人のニーズから始めることも重要ですが、保護者が気にしている困っている部分からはじめることは以下の理由で意味があります。
- 保護者が注目している部分である
- 本人のニーズは、支援者と保護者間でくい違う場合がある
- 保護者のニーズから取り組むことで信頼を得やすい
- 保護者と支援者が同じ方向をもって協働作業しやすい
●目的から先に提案する
環境設定や支援の提案をする時に、方法や形から進めるのは保護者にとって押しつけになり、そこから始めるのは危険です。
まずは、目的の部分から始めることが重要です。目的から始めることで、環境設定、手だて、支援の理由が明確で、保護者にとっても見通しが持ちやすくなります。
目的から始める理由としては以下が上げられます。
- 環境設定、手だて、支援の理由がはっきりする
- 保護者にとっても見通しが持ちやすい
- 方法よりも目的の方が支援者と保護者との間でくい違いが少ない
●障害特性と氷山モデルで伝える
目的と同じように、障害特性で説明することも重要です。その環境設定と手だて、支援の理由として特性の解説を入れることが必要です。
また、氷山モデルの視点で、本人の行動を、特性と環境の要因で解説し、環境をどのように変えるかをあわせて提示することも有効です。
●まずは学校・事業所でやってみる
保護者にとって新しい提案を家庭で始めることは不安もあり、抵抗もあります。
「本当の意味で効果があるかどうか?」というような信頼性を高めるためには、学校・事業所から始めることが大切です。
この視点を考える時に、ノースカロライナの先生から教えていただいた言葉あります。紹介します。
「保護者に10個の内容を伝えることは難しい、まず1つが重要。その1つは見せること」
「自分たちがうまくいっている支援は、保護者もうまくいく」
●実施している場面を見せる教える(OJT※が必要)
新しい手だて、支援は、実際にはある一定の知識や技術が必要なことがあります(例えばスケジュールへの促し、場所の移動)。
それを口頭で説明してもなかなかイメージが難いものです。細かい説明をするよりも、事業所や家庭訪問などによって実際に保護者の前で見せたり、実際にやっていただいて教えたりするプロセスが大切になります。
もちろん、保護者にとって続けやすい形で伝えて、続けやすい形で教えることが大切です。
※On-the-Job Training
●三日坊主でOKにする
保護者に新しい環境設定や支援を実施していただく時に支援者として不安を感じるのは、それがうまくいかないことではなく、保護者が挫折されて自分自身を責められることです。
うまくいかないことは調整すれば良いですが、挫折されて自分自身を責められるのは、次のステップへの大きなハードルになります。
賛否があると思いますが保護者のタイプによっては、三日坊主を推進する場合があります(本人にとっては良いことではありませんが)。
まずは始めてみて後のフォローを支援者が繰り返す場合があります。続けやすい支援にすることも大事ですが、保護者にまず始めるきっかけをつくることが大切です。
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