【協力の社会性段階】・・・1つまたは複数の目的に向かって協力して活動を進める社会的な段階です。
●目的と達成までの見通しの共有が必要
協力の段階では、1つもしくは複数の目的を相手、又は周囲の人と共有することが必要になります。その達成に向かっていることの見通しも共有しながら進める必要があります。
荷物を一緒に運ぶには、運ぶ目的と運ぶまでのプロセス、そして達成を共有したり、そのためのコミュニケーションが必要になります。
自閉症の人は、相手と共有する視点になることが困難です。目的を状況把握ですることが難しい場合があります。また、自然な状況で目的に近づいていること、そのために持続して努力することが難しいことがあります。
難しい同じ目的の達成にむけてある程度の社会的な場面を継続する必要があります。その社会的な場面の終わりは自分ではなく、目的の達成した段階にあることを知り、そして努力を続ける必要があります。
●相手や周囲の状態に気を配り調整すること
多くの協力の場面では、相手や周囲の状態に気を配り、調整することが必要になります。それは動作や方向、スピード、目的までのプロセスなど、わかり難い部分に気を配り調整することが望まれます。また、そのために時には確認しあい、コミュニケーションを続ける必要があります。
自閉症の人は、相手の状況にあわせたり、相手にあわせて自分の行動を調整したり、そのためにコミュニケーション続けることが困難なことがあります。「間合いを取る」「歩調をあわせる」「呼吸をあわせる」などが曖昧でわかり難いのです。
●共有の場面での機会設定
共有の機会設定では、題材が必要になります。そして共有の場面になる道具や材料の量に気を配る必要があります。例えばお絵描き、色塗では、その社会的な規模=人数よりも少ない数の各色のペンの設定が必要になります。
題材としては、幼児期・学齢期で言えば、お絵描き、工作、調理、辞書や資料の活用など、創作的な物や学習場面が設定できます。
移行期・成人期では、クラフトの道具、農具や工具、職場の共有の機材などが考えられます。
●協力の中での提案と命令との違いを知る
協力関係の中で、協力チーム間に提案をする場面はあります。時にはリーダーシップをとる必要もでてきます。しかし、そのことと命令することとは違いがあることを知ることは重要です。
相手と自分には違いがあります。その中で、相手の考えを活用したり、自分の考えを提案として出しながらチームで目的やそのための段取りを確認していくことが大切です。そこで生じるコミュニケーションは一方的なものではありません。
●各社会的段階の機会設定と支援について
各社会性の段階の機会設定と支援については、数回にわけて記事にまとめます。随時更新ですのです。現在アップされている内容は以下です。
- 社会的な気づきのレベルのアセスメントから機会を設定しよう
- お友達・同僚等の近くで活動する意味(接近・並行の意味)
- 周囲や近くに人がいる中での遊びや活動の設定と支援(接近・並行の機会設定)
- 道具や材料を共有で使うことの困難さ(共有の機会設定と支援)
- 協力・協調の苦手さと支援や工夫(協力の段階の支援)
- (更新予定)
書籍『生活デザインとしての個別支援計画ガイドブック』では、それぞれをアセスメントするための方法と参考になるポイントをフレームワークシートと表でお伝えしています。
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