社会的な機会の設定について解説を続けています(詳しくはこちら)。
前回は、社会性の段階の中で、接近と並行に関して解説しました(詳しくはこちら)。
接近・並行の社会的な段階では、周囲のことの注目し、注目しすぎないことで、近くや周辺の人と接近・並行で活動する段階としました。
今回は、接近・並行の社会的な機会の設定や支援についてまとめます。
●自立した活動で機会をつくる
接近・並行の社会的な段階では、周囲の状況に気をとめながらも自分の活動に注目し遂行することが大切です。
接近・並行の社会的な中で新しい活動を学ぶ設定するのではなく、すでに自立している活動内容で設定します。
そのことによって接近や並行の社会的な気づきにも注目できます(又は、注目しすぎない)。
●興味関心のある活動で機会をつくる
興味関心の活動は道具や材料だけではなく、周囲の状況への注目がよくなることがあります(一部のあまりに強い興味の時に他を意識できないこともあります)。
興味関心の物への注目の先に接近・並行でいるお友達に気づくことも多くなります。
そのために遊びや活動の本人の興味関心の度合いや自立度合いをアセスメントすることが大切です。
●繰り返し・慣れ親しみのある活動で機会をつくる
繰り返しや慣れ親しみのある活動は、興味もあり、そして課題・活動内容の自立度や注目も増えています。そのような中では社会的な気づきが増えてきます。
繰り返すや慣れ親しみをつくるために、活動内容の精選も必要で、繰り返しをつくる材料や道具の数も必要になります。
●境界の設定を工夫する
社会的な場面では境界が無い方が社会的なイメージがあります。しかし、接近・並行の中での自閉症の人の大きなハードルはお友達との境界をイメージすることです。
筆者の実践の中でも、境界があることで、自分の範囲、お友達の範囲の意識が高まり、お友達への関心が高まったり、コミュニケーションが増えたりするケースがあります。
●テーブルを使って先生やお友達の位置を考える
テーブルを使った接近・並行の活動は有効と考えられます。例えば、おもちゃを接近・並行で遊ぶ時に、床において活動するとお友達の様子に気づくことが少なくなります。テーブルがあることで、あもちゃの先にお友達や先生に気づく機会が増えます。
その意味でもお友達や先生の配置を意図的に工夫することが大切です。例えば、先生に注目している対象の幼児がいる場合、先生がお友達の周囲にいればお友達に気をとめる機会が増えます。
無理にお友達に注目するように声をかけたり、促したりすることは避けます。テーブルを使ったり、配置を工夫をつかうことで、気づける機会をつくってあげることが大切です。
●注目する部分と無視する部分を明確にする
接近・並行の中で活動する時に、自分にとって注目しなくていけない部分と無視しなくてはいけない部分を明確にしてあげる必要があります。
例えば、お友達の持っている物には関心を示しても注目しすぎてはいけません。
お友達の言動も気にとめながらも、無視することが必要な場面があります。
時には、それは無視する部分、関係の無い部分ということを提示することが大事になります。
●各社会的段階の機会設定と支援について
各社会性の段階の機会設定と支援については、数回にわけて記事にまとめます。随時更新ですのです。現在アップされている内容は以下です。
- 社会的な気づきのレベルのアセスメントから機会を設定しよう
- お友達・同僚等の近くで活動する意味(接近・並行の意味)
- 周囲や近くに人がいる中での遊びや活動の設定と支援(接近・並行の機会設定)
- 道具や材料を共有で使うことの困難さ(共有の機会設定と支援)
- 協力・協調の苦手さと支援や工夫(協力の段階の支援)
- (更新予定)
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