●空間のアセスメント
自閉症の人は、自分の位置や物や道具の位置を周囲の状況にあわせて決めたり、調整したりすることが得意ではありません(空間の整理統合の困難さの記事をご覧ください)。
そこで、空間の整理統合の仕方や空間の理解の仕方をアセスメントします。空間理解のアセスメントには、アセスメント場面全体の様子と空間図や配置図を利用したアセスメントを実施することがあります。
●空間のアセスメント例
空間のアセスメントには以下のような方法があります
アセスメントの中で、例えばキャッチボールや立作業の場面をつくり、「こっちに来てください」などと言語指示し様子を観察する
アセスメント場面で、検査者が材料・道具を並べないで、本人に渡して「材料を置いてください」と指示し、様子を観察する
材料や道具を置く、ジグやテンプレートを活用して絵・写真・文字などを手がかりに材料を準備できるかを観察します。
ホワイトボードや紙に平面図を参考にして印や名前を書いてもらいます。
アセスメントをしている場所の平面図を提示して移動してもらったり、道具を運んでもらったりする
*道具を配置するアセスメント
*ホワイトボードに記入するアセスメント
*事業所の平面図を用いたアセスメント
マッチングや絵・写真のジグのアセスメントからの情報も参考になります。
※ジグは、材料を1対1で対応させて準備する絵や写真、文字の指示です
※テンプレートは、材料の入った容器や道具の置き場所を1対1で対応させて指示する色、絵、形、記号、数字などの指示のマッチングした道具を準備するための手だてです。
●空間認知のアセスメントでの見るポイント
- 自己流ではなく周囲の状況にあった自分の位置や物の位置を選んだり、調整したりすることができるか?
- 指示された場所に移動したり、道具や材料を置くことができるか?
- 平面図を理解して材料、道具を配置したり、自分が移動したりすることができるか?
※アセスメント後の記録、評価については、記事の最後に書いています。
●空間整理統合の支援のいろいろ
本人の空間認知の力や理解できる情報を活用して、様々な空間整理統合を補う支援を実施します。
【エリアと境界の設定】
1つの場所を多目的に使うことが得意ではない自閉症の人へのサポートとして、エリアを設定して、その1つ1つの場所の境界を明確にしていきます。
【課題・活動を一体型にする】
状況に応じて空間を整理し、材料や道具を配置するのが難しい人、又は年齢としてまだ材料や道具の配置よりも課題そのものが優先される時期の人(筆者は、幼児期、学齢前期でこれを重視する)には、課題を一体型にして提示します。
【テンプレートの活用】
材料の入った容器や道具の置き場所を1対1で対応させて指示する色、絵、形、記号、数字などの指示のマッチングした道具を準備するための手だてをテンプレートといいます。
【絵・写真などのジグの活用】
反復的に又は多様にいくつかの材料を1対1で準備するための視覚的指示を絵のジグ、写真のジグと言います。
【空間図・平面図の活用】
広範囲の掃除や道具の片づけなどでは、場所の指示が重要になります。それを指示するのが空間図、平面図といいます。
●情報理解・スキルアセスメントシートで評価を記録する
ここで紹介しましたアセスメントをまとめるシートが『情報理解・スキルのアセスメントシート』です。これに評価し、記入し、活用します。
※情報理解・基本アセスメントシートver.05(エクセル)
※情報理解・基本アセスメントシートver.05(PDF)
※情報理解・基本アセスメントシートver(記入例)
※クリックしてダウンロードしてください。
※書籍『フレームワークを活用した自閉症支援』または『生活デザインとしての個別支援計画ガイドブック』とあわせてご活用ください。
評価はPEP3※TTAP※などの評価基準と同じPとEとFを参考に活用させていただいています。
P=理解している。活用できる
E=部分的にできる。まだ活用するには汎用していない
F=理解していない。活用は難しい
アセスメントをした後は、『個人情報シート』に集約して、またはそのまま支援を具体化する時の参考にします。
※『個人情報シート』エクセルファイルはこちら
※『個人情報シート』PDFファイルはこちら
※書籍『フレームワークを活用した自閉症支援』または『生活デザインとしての個別支援計画ガイドブック』とあわせてご活用ください。
支援の中で活用するのはPの理解している情報です。Eは基本的には課題にします。個々の状況によってはもう少しのタイプを活用する時には何らかの追加の支援が必要になります(例えば写真をトビー:その物だけを切り抜いた写真、カットアウトにする等)。
※【引用文献】
●日本版 PEP-3 自閉症・発達障害児 教育診断検査 [三訂版]/E.ショプラー著者代表 ; 茨木俊夫日本版監修 ; 服巻智子訳者代表/川島書店
●自閉症スペクトラムの移行アセスメントプロフィール TTAPの実際/エリック・ショプラ゜、ゲーリー・メジホフ、マイケル・チャップマン、ジョン・トーマス 監修:梅永雄二 監訳:今本繁、服巻智子
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