パニックや癇癪になった時に大切な視点

自閉スペクトラム症の方の中には、見通しが持てない時、自分の伝えたい内容が相手に伝わらない時、また伝える方法がない時に、パニックや癇癪、さらに自傷などの行動が見られます。その時の対応や考え方をまとめます。

●何にしても予防的な対応が大切

基本は、パニックや癇癪が起きないように普段の予防的対応が大切になります。

日頃からの予防的な対策が、沸点を超え、爆発することを防ぎます。

予防的な対策については、また記事にしたいと思いますが、以下のスライドを参考にしてください。

●それでもパニックや癇癪になったら

しかし、それでもパニックや癇癪になったときに、支援者は最善の対応をとる必要があります。

まずパニックや癇癪時の重要な視点は以下の２つです。

二次的な不成功体験をしないこと

日常に戻ること

パニックや癇癪になった時に重要なことは、もちろん本人や周囲の安全を確保することです。そして将来に大きな影響を与える（フラッシュバックなど）不成功体験を避ける必要があります。

他の研修でパニック・癇癪時には「まず本人」というキーワードを聞きます。しかし、パニックや癇癪の直前は本人の動きも想定が難しく、無理に本人に対応することで将来につながる二次的な事象（物の破損など＝不成功体験）のリスクが高いのです。

危機的介入として本人に対応することがありますが、基本はまず周囲の安全確保が先です。パニック・癇癪が少し落ち着いた後に対応するといいです。

● 氷山モデルで要因を考える

まず、支援者は、パニックと癇癪の要因を氷山モデルで整理して把握しておくことが大切です。以下は「フレームワークを活用した自閉症支援」の氷山モデルシートの３つの要因です。

【パニックや癇癪に関連のある特性】

• 理解することが難しい
• 自分の気持ちを
• 伝えるのが難しい
• 社会的な状況が複雑で混乱する
• 見通しを持つことが難しい
• 過去の記憶が消せない　　　　　　など

【パニックや癇癪に関連のある環境・状況】

• 理解できない情報
• 気持ちを伝える方法がない
• 社会的な状況、段階、規模があわない
• 見通しがない
• 過去の嫌な経験
• リラクセーションの方法がない　　など

【パニックや癇癪に関連のある過去の経験】

• 恐怖や嫌悪感のある経験
• 守られない、守れない経験
• 不成功体験
• 周囲の状況＝嫌なできごと　　　　など

●パニックや癇癪の時の基本の考え方

パニックや癇癪の時には以下の視点を重視します。

• パニックや癇癪時に「大丈夫？」など声掛けを連呼しない
  最小限の人数で対応
• まずは安全確保！本人へのアプローチは少し落ち着いてから！
• 支援者が先の見通しをもって準備する
• 将来につながる失敗経験を避ける
• 日常に戻す（周囲も変わらない）

その理由としては以下のような将来につながる不成功経験のリスクを回避するためです。

• パニックや癇癪の時に物を破壊したり、他害をしてしまう
• パニックの時におさえられた
• パニック後に周囲の支援者の接し方、支援の仕方が変わった
• パニック後に環境が変わった
• 癇癪・パニック時の５つの対応

●パニックや癇癪になった時の対応

予防的な対応がうまくいかず、パニックや癇癪が起きた時には以下のような順番で進めます。

1. まずは安全を確認し、安全を確保ます
2. 周囲の人との距離を保つ
3. 落ち着くまで観察する（安全を確保する）
4. ある程度落ち着いたら
5. 気持ちの落ち着ける場所に移動または方法をとる
6. 　通常の生活に戻る

・スタッフや周囲がいつもの状態にもどる

・スケジュールの日課にもどる

・具体的な活動に移る

・スケジュールの調整は、最小限で本人に大きな変化にならないようにする

● ５秒・１０秒・３０秒の対応

パニックや癇癪時の対応は、瞬時の判断が必要です。
５秒：現状確認し、１０秒：安全把握、３０秒：安全確保の感覚を意識することも必要です。

詳しくはこちら

https://bouzan-note.com/jiha/2800.html

以上です。日頃からやること、起こった時の対応をイメージして、二次的な不成功体験につながらない、または最小限にとどめることが大切です。

この記事のYouTube動画はこちら

https://youtu.be/WoYd8OnUHRY?si=YRZO3eCSlkI8N0Nj

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