●生活の中でなぜ境界が重要か
生活の中には、様々な情報が飛び交います。教室の中、事業所、職場の中では、自分に関係のある情報もあれば関係の無い=無視しなくてはいけないものがあります。
しかし、自閉症の人にとって、それらを整理することが難し場合があります。注目しなくてはいけない部分に注目することが難しかったり、無視しなくてはいけない部分に強く注目したりすることもあります。
自閉症児・者の今の自立と、将来の自立を考えると以下のことが重要になります。
- 自分にとって関係のある情報に注目すること
- 自分にとって関係の無い情報を無視すること
- そのための境界を意識すること
必要な部分と無視する部分を明確につかむためには、自閉症の人に個々に境界を明確にする必要があります。境界が明確になることで、どの部分に注目して、どこを無視していいかが明瞭になります。
自分のいる範囲、物のを置く範囲など、活動に関係のある範囲を明確jにするのも境界です。
●境界はパーテーションだけではありません
境界の話をすると支援者の中では、「あああ、パーテーションか」 「刺激の統制か」のイメージが強い方がいると思います。
もちろんパーテーションは1つのパーテーションになり、刺激など無視すべきことを無視できるようにする支援になります。
幼児期には、刺激の統制を中心にして、活動内容そのものに注目するように支援します。また、学齢・成人期でも必要であれば、刺激の統制はすべきだと思います。しかし、それしか視野になければ、将来、どんな場面で、関係の無い物を無視する時には、パーテーションで見えなくする支援ばかりになってしまいます。
自分に必要な情報と、自分に関係の無い情報の境界はパーテーションだけではありません。
例えば以下の内容も境界の提示、教えることになります。
- パーテーションによる刺激の統制、境界の明確化
- 自分の活動、他人の活動を明確にすること
- 注目すべきこと、無視すべきことを教えること(時間や状況によって変わることも教える必要)
- ラインやカーペット、マット、家具、机などで境界を伝える
今年度からできた就労移行をめざす事業所では、この観点を重視してかなりフラットな設定をしています。無視できる状況づくりとして、今注目すべき活動を明確にすることを重視し、一人ひとりの利用者の特性や、活動内容によって、パーテーションを追加したり、別の部屋で相談する設定を進めています。(利用者の状況によりますし、必要な事業所もある思いますが、最初からパーテーションだらけの事業所では、上記の境界を教えることが難しいのではと感じることがあります。これはあくまで私の見解です。)実際、利用者の様子を見ると、無視できる場面が増えてきています。
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