●生活シナリオについて
自閉症やADHDの支援の中では個々の特性と事業所全体状況から、一人ひとりの生活シナリオ(全体の活動も含む)を考えていきます。生活シナリオは佐々木正美先生から教えていただいた重要な視点です。
生活シナリオとは、時間や空間などの整理統合が苦手な自閉症の人に一日を本人を主役とする舞台に、活動を1つ1つの舞台の場面に見立て、支援者が脚本家や監督になりシナリオを考える視点です。視覚的なスケジュールなど、様々な視覚的な手がかりも大事ですが、やはり生活内容(活動)を本人にあわせ充実し、安定し、調整していくことが望まれます。
児童発達支援事業所、特別支援学級、特別支援学校など、個別のニーズを持った方が対象の事業所では、個々の生活シナリオを基盤として全体のスケジュールを調整することが望まれます。しかし、保育所、幼稚園、通常学級であれば全体の日課を基盤として個別の生活シナリオを調整します。生活生活シナリオの設定例を書籍『フレームワークを活用した自閉症支援』の63ページを解説しています。その生活シナリオ設定例データ(エクセル)はこちら。
書籍『フレームワークを活用した自閉症支援』63ページ生活シナリオ設定例・エクセルデータ(クリックするとエクセルデータがダウンロードできます)
●そのシナリオを考える視点は作曲に近い=生活メロディー
生活シナリオづくりは曲づくりと似てるかもしれません。
イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ→Aメロ→Bメロ→間奏→Cメロ→サビ(こんな曲あるかな?)のように、繰り返しの変わらない部分と変化が絶妙に配置され良い曲になります。
常に変化があり馴染みが含まれないのは心に響きにくいし、変化が少ないのはワクワクが少なくなります。「馴染み」と「変化」の両面の絶妙さが大切なんです(しかし、私は曲がつくれません)。
曲づくりと同じように、繰り返しと変化を仕組むのが良い生活シナリオづくりにつながります。
●毎日の調整が必要な生活シナリオ
生活シナリオの基本的な考えは「毎日同じにはしない」です。毎日同じスケジュールで同じ流れであれば、それが習慣化します。人によってはそれに依存し、変更の苦手さを生んでいます。スケジュールは毎日同じ流れ、一緒ではなく、変えていきます。
しかし、毎日事業所全体の生活シナリオを考えるのは大変な業務になります。『児童発達支援センターぐるんぱ』では、いくつかのパターンの生活シナリオを定例のミーティングで確認し、その日の事情で調整をしています(写真)。
●生活シナリオを考える習慣
また、児童発達支援センターぐるんぱでは、園児の生活シナリオとあわせて、職員の配置も生活シナリオに入っています。児童発達支援センターでは、一人のスタッフが毎日同じ子どもを担当することはしません(人の依存を少なくするため)、個別支援計画の担当はいますが、療育・支援の時間は担当制をとっていません。そこで、この職員のシナリオも重要になります。
生活シナリオを考えることは、自閉症の支援の事業所の重要な習慣になります。
事業所全体の利用者の生活シナリオと職員の配置を書き出す『生活支援体制シート』を公開しています。ワークシートのページか以下からご活用ください。このシートは『フレームワークを活用した自閉症支援』の69頁の架空の事業所のシートを掲載していますので、そちらを参考に記入してください。
●生活支援シートで1つ1つの場面の支援を具体化する
生活シナリオで生活内容を具体化したら、1つ1つの生活場面の具体的な支援計画を立てます。活用するシートは生活支援シートです。各場面の本人の様子と支援の方向性を記入します。
書籍『フレームワークを活用した自閉症支援』、新刊『生活デザインとしての個別支援計画ガイドブック』は上記のポイントを念頭に作成したフレームワーク集です。すでに全国にこのフレームワークを活用し、効果のある実践をされている支援者、協働チームの仲間の輪が広がっています。是非、皆さんもその仲間に入っていただければ嬉しく思います。
★セット特価★ 「フレームワークを活用した自閉症支援」シリーズ2冊セット定価 3,740円 → セット価格 2,992円
Amazonでの購入ご希望の方は下のリンクからお願いします。
Facebookページはこちら
facebookページ ※facebookページのIDがない場合も観覧はできます。ご覧ください。