●完成見本とは?
自閉症・発達障害の人にとって見通しを持てない状況は不安や混乱につながります。見通しの1つで、今やっている課題や活動のゴールを伝えることは重要です。ゴールイメージを伝えるアイデアの1つに「完成見本」があります。
完成見本は、字そのままの意味で、完成の見本を提示するものです。
皆さんがイメージできるものとしてプラモデルがあります。箱のパッケージなどに完成した写真や絵がありますね。
完成見本は以下の情報が明確になります
- 完成イメージ(目的)
- 「どうなったら終わりか」の情報
- 部分の進め方、完成のヒント
●完成見本は無くさない
よく課題(例えば組み立て)ができるようになったら無くす支援者がいます。しかし、完成イメージは状況によって変わります。例えば同じ材料をつかって違った組み立てになるかもしれません。自然な形の指示に移行することはあっても(詳しくはこちら)無くなることはありません。
●完成見本のアセスメントツール
完成見本のアセスメントツールは、組み立てやパッケージング(袋の中に指定された物を入れる)の内容で作成します。
完成見本のタイプとしては、絵、写真、実際の完成した物などがあります。
簡単なものから複雑なものまで、準備します。
【題材の選び方に注意】
完成見本の題材(内容・材料)選びで注意するポイントがあります。それは完成見本がなくても材料を観たら組み立て方が分かるものは選ばないということです。一番、わかりやすいのはボールペンやライトの組み立ては完成見本のアセスメントでは不向きです。理由は、材料を観て組み立てたのか、完成見本を観て組み立てたのかわからないからです。組み立パターンが何通りかある題材を選んでください。
>>容器等パッケージングでの完成見本
●完成見本のアセスメントの進め方
アセスメントの進め方は以下です
- 材料を提示する(分類のアセスメントにする場合もあります)
- 完成見本を提示する(本人の理解を確認して絵、写真、実際の物の順番で確認します。
- 本人が取り掛からなかったら、簡単な完成見本で一度モデルを見せます。
アセスメントでは、どの視覚的なタイプの完成見本が活用できるか、複雑さ、工程の量などもあわせて活用します。
完成見本とあわせて、次の記事で紹介します絵や写真のジグの活用のアセスメントも同時に実施します。
●情報理解・スキルアセスメントシートで評価を記録する
ここで紹介しましたアセスメントをまとめるシートが『情報理解・スキルのアセスメントシート』です。これに評価し、記入し、活用します。
※情報理解・基本アセスメントシートver.05(エクセル)
※情報理解・基本アセスメントシートver.05(PDF)
※情報理解・基本アセスメントシートver(記入例)
※クリックしてダウンロードしてください。
※書籍『フレームワークを活用した自閉症支援』または『生活デザインとしての個別支援計画ガイドブック』とあわせてご活用ください。
評価はPEP3※TTAP※などの評価基準と同じPとEとFを参考に活用させていただいています。
P=理解している。活用できる
E=部分的にできる。まだ活用するには汎用していない
F=理解していない。活用は難しい
アセスメントをした後は、『個人情報シート』に集約して、またはそのまま支援を具体化する時の参考にします。
※『個人情報シート』エクセルファイルはこちら
※『個人情報シート』PDFファイルはこちら
※書籍『フレームワークを活用した自閉症支援』または『生活デザインとしての個別支援計画ガイドブック』とあわせてご活用ください。
支援の中で活用するのはPの理解している情報です。Eは基本的には課題にします。個々の状況によってはもう少しのタイプを活用する時には何らかの追加の支援が必要になります(例えば写真をトビー:その物だけを切り抜いた写真、カットアウトにする等)。
※【引用文献】
●日本版 PEP-3 自閉症・発達障害児 教育診断検査 [三訂版]/E.ショプラー著者代表 ; 茨木俊夫日本版監修 ; 服巻智子訳者代表/川島書店
●自閉症スペクトラムの移行アセスメントプロフィール TTAPの実際/エリック・ショプラ゜、ゲーリー・メジホフ、マイケル・チャップマン、ジョン・トーマス 監修:梅永雄二 監訳:今本繁、服巻智子
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