●「こだわり」の表現では支援につながらない
自閉症の特性の中で支援者がすぐでてくるイメージの1つに「こだわり」があると思います。
支援者が個々の自閉症の特性を説明したときに「この方はこだわりがあり」という表現を聞くことが多くあります。
しかし、「こだわり」と表現して支援イメージにつながる方というと、なかなかイメージできない。
最悪なケースとして無理に【こだわらせない】支援になります。
●「こだわり」の表現を別の表現に変えると支援の道筋が見える
実は、特性を説明する時、また特性シートに書き出すときに、「こだわり」という文言を別の表現に変えると支援の道筋が見えてきます。
例1)「こだわり」を「物の配置や自分場所をいつものように保持しようとする」と考えると
その方が困難になっているのは、自分や物の配置(空間の整理統合)の困難さと、それが変化することに抵抗があることの要因であることがわかります。
書籍※の巻末の『自閉症・発達障害解説の手引き』を参考にした支援計画では、
物の置き場所に印をつけたり、状況により自分がどこにいれば良いかを視覚的に示したり、必ず同じ場所にしっかり置けるようにはめ込む指示(カットアウトタイプ)にしたりなど、こだわりを止めさせるのではなく、空間への設置の仕方、変化を伝える支援が大切になります。
例2)「こだわり」を「いつも同じにしないといけない(予定)」と考えると
その方の困難になっているのは、予定の見通しの(時間の整理統合)の困難さと、それが変更することの困難さが要因であることがわかります。
書籍※の巻末の『自閉症・発達障害解説の手引き』を参考にした支援計画では、
1日全部の活動を(本人が決めている予定だけではなく)視覚的スケジュールやワークシステムで伝え、本人にとって抵抗の少ない部分から少しずつ予定を変えたり、変更のシステムで変更を伝えたりを繰り返すこと、また変更の予告をすることなどがイメージできます。
例3)「こだわり」を「1つのこと(人・場所・物など)と1つのこと(行動、活動、言葉)を強く関連づけている」と考えると
その方は、1つの状況と1つの内容を強く結びつけて、それ以外がイメージできない般化の困難さがあることがわかります。
書籍※の巻末の『自閉症・発達障害解説の手引き』を参考にした支援計画では、
まずは1つ1つの場面から丁寧に視覚的で具体的な指示で内容を伝え、計画的に事例を積み重ね、「状況などで変わることもある」「そうでなくても大丈夫」を伝え成功体験を繰り返すアプローチが考えられます。
他にも色々な「こだわり」も別の表現に置き換えができると思います。
必ずしも強みに置き換える必要はありません※。「こだわり」と言い切るのでなく、よりイメージしやすい特性で考えてみることが大切です。
※こだわりを無理矢理に強みに置き換えることで、本人の本質の困難さがイメージできなくなります。
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