●終わりの概念の意味と活用について
自閉症・発達障害の人にとって見通しを持てない状況は不安を持ち、混乱することもあります。
特に終わりの見通しがあるいことは安心感と自立的行動につながります。
終わりの見通しも、様々でシンプルな物から概念・スキルを必要とするものがあります。
私は、一人ひとりの終わりは、1つ決めるのではなく、終わりのアセスメントを実施して、いくつかの終わりのバリエーションを持つ必要があると考えています。
本人の理解や活動の題材、状況によって終わりのバリエーションを使い分ける必要があります。私が実施しいる終わりのアセスメントのいくかを紹介します。
●先生や支援者が言語指示終わりを伝えられた、又は合図で終わり
これはとても重要な終わりです。周囲の人から終わりを伝えられたら、又は合図があった時に、今やっている活動を終わることができるかをアセスメントします。
準備するのはプットインのように活動がシンプルで注目しやすい課題です。材料は多い方がいいです。この次の「無くなったら終わり」にも活用します。
課題を実施している途中で、言語指示又は合図(例えば文字やシンボルの指示)で終わりを指示します。難しい場合は、少し課題の材料を隠すように手を覆います。無理に終わらせる必要はありません。その合図で終れるか確認するだけです。
●材料がなくなったら終わり
私は、言語指示、合図での終わりの後に実施します。その合図で終れたら、再度、「もう一度はじめてください」活動を開始してもらいます。プットインなどの材料が無くなったら終わりかを確認します。
●フィニッシュボックス・見えなくなったら終わり
プットインなどの活動や本人が好きな本などの道具がある余暇活動を実施中に行います。しばらく活動している時に、「終わります」と言語指示し、フィニッシュボックス(フタ付き)を提示します。終れない場合は、活動のツールを先生、支援者主導で中に入れて促してフタをしめて本人が混乱しないで終れるかを確認します。あわせて、すぐ次の活動の見通しを伝えます。
内容や状況によってフィニッシュボックスが難しい場合は、布などで被せて終わるように指示します。私は大きめの布バックを用意します。
●もう入らなくなったら終わり
こちらもプットインを活用します。プットインで少し大きめの材料を容器に入れて、材量は残っているけど、これ以上入らないから終れるかを確認します。だから材料は少し多めに準備します。
●1対1の対応の容器に全部に入ったら終わり
1対1のアセスメント(詳しくはこちら)の中で実施します。1つの区分けされた場所に1個ずつ入れていって、もう入れる場所が無くなったら終れるかを見ます。
●時計、タイマー、カウンターで終わり
本人がある程度続けられる活動の中で実施します。時間は「●時●分」で終れるかを観ます。タイマーは、タイマーが鳴ったら終わりを観ます。カウンターは「●個」カウントしたら終わりを観ます。
●リストのチェックボックスにチェックが入ったら終わり
道具の準備リストや工程のある活動のリストで進めながら、全部にチェックマークがついたら終われるかを観ます。
●終わりのアセスメントの留意点
終わりのアセスメントではいくつかの注意するポイントがありますので、以下のポイントを確認してください。
- 終わり方、題材、本人の状態にあわせた材料を準備する
- それぞれの終わりの合図、ポイントに本人が気づいてるかを観察する
- 終わる前後に検査者がプロンプト(手がかり)を出してはいけない
- 適切に待つ必要がある。
●情報理解・スキルアセスメントシートで評価を記録する
ここで紹介しましたアセスメントをまとめるシートが『情報理解・スキルのアセスメントシート』です。これに評価し、記入し、活用します。
※情報理解・基本アセスメントシートver.05(エクセル)
※情報理解・基本アセスメントシートver.05(PDF)
※情報理解・基本アセスメントシートver(記入例)
※クリックしてダウンロードしてください。
※書籍『フレームワークを活用した自閉症支援』または『生活デザインとしての個別支援計画ガイドブック』とあわせてご活用ください。
評価はPEP3※TTAP※などの評価基準と同じPとEとFを参考に活用させていただいています。
P=理解している。活用できる
E=部分的にできる。まだ活用するには汎用していない
F=理解していない。活用は難しい
アセスメントをした後は、『個人情報シート』に集約して、またはそのまま支援を具体化する時の参考にします。
※『個人情報シート』エクセルファイルはこちら
※『個人情報シート』PDFファイルはこちら
※書籍『フレームワークを活用した自閉症支援』または『生活デザインとしての個別支援計画ガイドブック』とあわせてご活用ください。
支援の中で活用するのはPの理解している情報です。Eは基本的には課題にします。個々の状況によってはもう少しのタイプを活用する時には何らかの追加の支援が必要になります(例えば写真をトビー:その物だけを切り抜いた写真、カットアウトにする等)。
※【引用文献】
●日本版 PEP-3 自閉症・発達障害児 教育診断検査 [三訂版]/E.ショプラー著者代表 ; 茨木俊夫日本版監修 ; 服巻智子訳者代表/川島書店
●自閉症スペクトラムの移行アセスメントプロフィール TTAPの実際/エリック・ショプラ゜、ゲーリー・メジホフ、マイケル・チャップマン、ジョン・トーマス 監修:梅永雄二 監訳:今本繁、服巻智子
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